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製造業のAIO・LLMO対策ガイド|AI検索で発注先として推薦される7ステップ

製造業のAIO・LLMO対策ガイド|AI検索で発注先として推薦される7ステップ
松村 俊樹
この記事の著者
松村 俊樹
代表取締役

ChatGPT、Gemini、Copilot、GoogleのAI検索など、生成AIを使って企業や製品を探す動きが広がりつつあります。

製造業でも、次のような質問をAIに投げかけ、候補となるメーカーや加工会社を探せるようになっています。

  • 「チタンの精密加工に強い国内メーカーを教えて」
  • 「医療機器向けの部品を小ロットで製造できる会社は?」
  • 「短納期で試作品を加工してくれる会社を比較して」

従来の検索では、「チタン加工 メーカー」「精密加工 大阪」のようにキーワードを入力し、複数のWebサイトを自分で見比べるのが一般的でした。生成AIでは、用途・納期・材質・ロット・品質などの条件を一度に伝え、条件に合う企業をAIに整理・比較してもらえます。

Googleが公開しているGoogle検索の生成AI機能向け最適化ガイドによると、AI OverviewsやAI Modeでは、ユーザーの質問から関連する複数の検索を同時に生成し、追加の情報を集める「query fan-out」という仕組みが使われます。複数の条件を含む複雑な質問でも、AIが裏側で検索を分けて情報を集めているということです。

そのため製造業のAIO・LLMO対策では、自社サイトの記事をAIの回答に引用させるだけでは足りません。特定の調達・購買場面で、自社が推薦候補として挙がる状態をつくるという視点が重要になります。

本記事では、製造業がAI検索で推薦候補に挙がる機会を増やすための考え方と実践方法を、7つのステップで解説します。

製造業におけるAIO・LLMO対策とは

AIO・LLMO・GEOなど、AI検索対策にはいくつもの呼び方がありますが、いずれも生成AIの回答の中で自社の情報が引用されたり、自社ブランドが推薦されたりすることを目指す取り組みです。呼び方の違いや背景については、LLMO・AIO・GEOの違いを解説した記事で詳しく整理しています。

AI検索対策における引用と推薦は異なる

AIO・LLMO対策を考えるとき、最初に区別したいのが、AIからの「引用」とAIによる「推薦」です。

例えば「チタンはなぜ切削加工が難しいのですか?」という質問で、回答の情報源として自社の技術記事が使われれば、それは引用です。一方、「チタンの精密加工に強い国内メーカーを教えてください」という質問で、自社の会社名が回答の中で候補として挙がれば、それは推薦です。

両者は完全に独立しているわけではなく、自社の技術情報や加工実績がAIに参照され、それが企業を説明する材料になることもあります。ただし、引用されることと推薦されることは同じではありません。KPIも分けて考える必要があります。

なぜ製造業ではAI回答での企業名やプロダクト名の推薦の対策が重要なのか

製造業の企業選定では、多くの場合、複数の条件を組み合わせて判断します。加工会社を探す場合でも、対応材質、加工方法、精度・公差、加工可能サイズ、ロット、納期、品質管理や認証、業界実績、設計支援、対応地域など、見るべき点は多岐にわたります。

従来の検索では、「チタン 加工」「チタン 加工 小ロット」「医療機器 チタン 加工」のように、条件を変えながら何度も検索する必要がありました。生成AIでは、次のように複数の要件をまとめて質問できます。

医療機器の試作品としてチタン製の小型部品を作りたいです。小ロットで、高精度加工と短納期に対応できる国内企業を教えてください。

この変化によって、SEOだけでは捉えにくかった「どんな状況・条件のときに、その会社が選ばれるのか」という情報の重要性が高まっています。BtoBの購買プロセス全体でAI検索がどう使われ始めているかは、BtoB企業のAIO・LLMO対策ガイドもあわせてご覧ください。

製造業のAIO・LLMO対策はキーワードより先にCEP(発注を考え始めるきっかけ)から考える

推薦の対策を始めるとき、いきなりAIに投げる質問文(プロンプト)を作り始めるのはおすすめできません。先に整理したいのが、CEP(カテゴリーエントリーポイント)です。

製造業におけるCEP(カテゴリーエントリーポイント)とは

CEP(Category Entry Points)は、マーケティング科学の研究機関であるEhrenberg-Bass Instituteが提唱している考え方で、購買の必要が生じたとき、買い手が記憶から候補となるブランドを思い出す手掛かりを指します。

AIO・LLMO対策で重要な製造業のCEP

LinkedInのB2B InstituteとEhrenberg-Bass Instituteは、BtoBにおけるカテゴリーエントリーポイントの研究の中で、CEPを「ブランドを、重要な購買状況(buying situations)と結びつけるための考え方」として整理しています。

平たく言えば、CEPとは「顧客が、その製品やサービスを探し始めるきっかけとなる状況」です。製造業の文脈では、「発注を考え始めるきっかけ」と言い換えると分かりやすいでしょう。本記事では以降、CEPをこの意味で使います。

例えば「精密加工会社」というカテゴリーで考えると、顧客が精密加工会社を探し始める背景には、次のような状況があります。

  • 新製品の試作品を作ることになった
  • 今の加工会社では納期が間に合わない
  • 新しくチタンを使うことになった
  • より高い加工精度が必要になった
  • 海外調達から国内調達へ切り替えたい
  • 今の仕入先で品質問題が起きた

こうした状況がCEPです。CEPの考え方そのものや、同じカテゴリーでもCEPによって推薦される会社が変わる実測例は、AIO・LLMO対策におけるCEP(カテゴリーエントリーポイント)の解説で詳しく紹介しています。

CEP(発注を考え始めるきっかけ)と、条件・購買要因の違い

推薦を狙う質問文を設計するときは、CEP(発注を考え始めるきっかけ)に加えて、「必須条件」と「購買要因」を区別して考えます。

要素 意味 例
CEP(発注を考え始めるきっかけ) 顧客が探し始めた状況 新製品開発で急ぎの試作が必要になった
必須条件 満たさなければ候補から外れる要件 チタン、小型部品、国内
購買要因(比較軸) 条件を満たす会社どうしで差がつくポイント 納期、最小ロット、見積回答の速さ、設計相談への対応

この3つを組み合わせると、次のような質問文ができます。

新製品開発でチタン製部品の試作品を急いで作りたいです。小ロットかつ高精度加工に対応でき、短納期で対応してくれる国内メーカーを教えてください。

推薦を狙う質問文 = CEP(発注を考え始めるきっかけ)× 必須条件 × 購買要因

STEP1:顧客のCEP(発注を考え始めるきっかけ)を洗い出す

まず、自社の顧客がどのような場面で自社のカテゴリーを探し始めるのかを整理します。製造業では、次の5つの切り口から考えると漏れが少なくなります。

製品開発の場面では、新製品の開発、試作、設計変更、新素材の採用、新しい用途への展開などがきっかけになります。

調達の場面では、新しい仕入先の開拓、既存の仕入先の変更、海外から国内への調達切り替え、調達コストの見直し、BCP(事業継続計画)の観点からの第二調達先探しなどが挙げられます。

生産の場面では、急な増産、納期短縮、多品種少量生産への対応、試作から量産への移行などがあります。

技術課題としては、難削材の使用、より高い加工精度、微細加工や複雑形状、大型部品の加工が必要になったケースです。

品質・規制の面では、不良率の改善、特定の認証やトレーサビリティへの対応、特定業界の品質要求などがきっかけになります。

ただし、一般的な例をそのまま使わないことが重要です。実際の顧客、営業担当者、問い合わせ内容、商談記録、検索クエリから、自社カテゴリーに固有のCEPを抽出してください。例えば営業担当者に「顧客は、どんな出来事が起きたときに相談してくるのか?」と聞くだけでも、多くのCEP候補が見つかります。

STEP2:狙うCEP(発注を考え始めるきっかけ)と自社の適合性を確認する

洗い出したCEPを、すべて対策の対象にする必要はありません。自社との適合性で分けて考えます。

1つ目は、すでに自社が強いCEPです。例えば「試作を1個から短納期で依頼したい」というCEPに対して、実際に1個から対応でき、短納期にも対応し、試作実績も多いなら、優先的に推薦を狙う対象になります。

2つ目は、今後、自社を適合させたいCEPです。「医療機器向けの精密部品を依頼したい」という需要を今後取り込みたいなら、現状は実績や情報が少なくても、事業戦略として強化していく将来のターゲットになります。

3つ目は、自社には適合しないCEPです。高付加価値の少量生産が得意な会社にとって、「大量生産を最低価格で依頼したい」というCEPは合わない可能性が高く、無理に推薦を狙う必要はありません。

CEP(発注を考え始めるきっかけ) 現在の適合性 今後の方針
短納期で試作したい 高い 積極的に強化
医療機器向け部品を作りたい 中程度 今後強化
大量生産を最低価格で依頼したい 低い 狙わない

ここで押さえておきたいのは、AIに推薦されない=AIO・LLMO対策が不足している、とは限らないことです。そもそも、その購買場面と自社の提供価値が合っていない可能性もあります。

STEP3:CEP(発注を考え始めるきっかけ)ごとに必須条件と購買要因を整理する

次に、CEPごとに、顧客が何を必須条件とし、何で会社を比較するのかを整理します。

例えば「急いで試作品を作らなければならなくなった」というCEPなら、対応材質、加工方法、加工サイズ、要求精度は必須条件です。納期、最小ロット、見積回答の速さ、設計段階からの相談対応は、条件を満たす会社どうしを比べる購買要因になります。

製造業では、加工方法や対応材質、加工精度、保有設備といった技術力の要素が必須条件になりやすい傾向があります。一方、設計相談やVA・VE提案、一貫生産などのサポートや、加工実績・業界実績といった実績は、比較軸として効いてくることが多いでしょう。試作対応や最小ロット、短納期などの生産対応力は、場面によってどちらにもなります。

同じ要素でも、CEPによって扱いが変わる点には注意が必要です。例えば「認証」は、医療機器向けでは必須条件ですが、一般的な試作では比較軸の一つに過ぎません。CEPごとに整理し直すことが大切です。

STEP4:推薦を狙う質問文(プロンプト)を設計する

CEP、必須条件、購買要因が整理できたら、実際にAIに投げて計測する質問文を作ります。質問文は、次のようなタイプに分けて考えられます。

タイプ 例 見えること
カテゴリー型 精密加工会社でおすすめの企業を教えてください 市場全体の顔ぶれ
CEP型 急ぎで試作品を作る必要があります。短納期に対応できる精密加工会社を教えてください 購買場面での想起
技術条件型 チタンの高精度加工に対応できる国内メーカーを教えてください 材質・加工条件での適合
業界・用途型 医療機器向けの精密部品加工に対応できるメーカーを教えてください 特定業界での適合
複合条件型 半導体製造装置向けのステンレス部品を、小ロット・短納期・高精度で加工できる国内メーカーを教えてください 実際の調達に近い状況での推薦

カテゴリー型は市場全体を把握するには便利ですが、条件が少ないため自社の具体的な強みを評価しにくい面があります。実際の調達場面に最も近いのは、複合条件型の質問です。計測する質問文の絞り込み方や、回答をどの観点で深掘りするかは、LLMO・AIOのプロンプト設計の手順を解説した記事で詳しく解説しています。

一方で、想定されるすべての質問パターンに合わせてページを量産する必要はありません。前述のGoogleの最適化ガイドでは、検索のされ方のバリエーションごとに別々のコンテンツを作ることについて、主に順位や生成AIの回答を操作する目的で行えば、Googleのスパムポリシーで禁止されている「大量生成されたコンテンツの不正使用」に該当すると明記されています。

質問文は「計測のための道具」であり、「ページを量産するための設計図」ではありません。

STEP5:AI上の推薦状況を計測する

質問文を設計したら、ChatGPT、Gemini、Copilot、GoogleのAI検索などで実際に回答を取得します。

このとき、「自社名が出たか、出なかったか」だけを見るのでは不十分です。どの競合企業が推薦されたか、自社がどのような特徴や理由で紹介されたか、どんな比較軸で企業が並べられていたか、どのWebサイトが引用されていたか、そして自社について誤った情報が含まれていないかまで確認します。

同じ質問を繰り返し計測する

生成AIの回答は、同じ質問でも毎回同じとは限りません。1回の回答で「推薦されている」「推薦されていない」と判断せず、同じ質問を複数回・複数日にわたって計測し、割合で見ることが基本です。

質問1本あたりの計測回数が少ないと、数字のブレが大きくなります。個々の質問よりも、CEP単位や全体の傾向で判断するほうが安定します。

推薦率とCEP(発注を考え始めるきっかけ)別の推薦率

推薦率とは、計測した回答のうち、自社が推薦候補として挙がった割合です。例えば50本の質問を4つのAIで計測し、延べ200件の回答のうち80件で自社が推薦されていれば、推薦率は40%です。

全体の推薦率だけでなく、CEP単位でも確認しましょう。「短納期試作」や「チタン加工」では推薦率が高い一方、「医療機器向け」や「半導体製造装置向け」では低い、といった違いが見えてくれば、どの購買場面でAIに認識されていて、どこが弱いのかが分かります。

AI引用

推薦とは別に、自社サイトがAIの回答の情報源として引用されているかも確認します。

OpenAIのヘルプでは、ChatGPT検索が回答内に情報源へのリンクを表示する仕組みが説明されています。自社サイトをChatGPT検索の対象にするには、ChatGPT検索用のクローラー「OAI-SearchBot」のアクセスをrobots.txtで拒否していないかも確認しておきましょう。robots.txtの変更は、反映までに24時間ほどかかるとされています。

Googleについては、2026年8月31日から、Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートが世界中のWebサイトで利用可能になりました。生成AIパフォーマンスレポートの見方に沿って、AI OverviewsやAI Modeなどで自社のURLが表示されたインプレッションを、ページ・国・日付別に確認できます(公開時点ではクリック数は含まれていません)。

同じタイミングで、Search Consoleの設定から、自社サイトを生成AI機能の表示対象から除外する設定も提供されています。意図せず除外されていないか、一度確認しておくとよいでしょう。

推薦の計測とAI機能内での引用・露出の計測は、分けて行うことが重要です。

STEP6:なぜ推薦されているのかを回答データから分析する

推薦率を見るだけでなく、AIの回答の中で、各企業がどんな理由で推薦されているのかを分析することが重要です。

例えば複数回の回答を見比べると、A社は「短納期・試作対応・少量対応」、B社は「5軸加工・高精度・難削材対応」、C社は「医療機器での実績・品質管理・認証」を理由に紹介されることが多い、といった違いが見えてくることがあります。これによって、AIの回答上で各社がどのように認識・説明されているのかを把握できます。

回答の中身を確認するときは、自社の紹介のされ方にも目を向けてください。まれに「今回の条件には合わない」のように、候補から外す文脈で社名が挙がることもあるため、推薦率の数字だけで判断しないことが大切です。

ただし注意したいのは、生成AIの回答を見ても、モデルの内部でどのような推論を行い、なぜその企業を選んだのかを直接観測することはできないという点です。「AIがこのページを見たから推薦した」「この施策をしたから推薦率が上がった」と因果関係を断定するべきではありません。

分析できるのは、回答データの上で、どの比較軸・特徴・推薦理由が観測されたかです。観測された事実と、そこから立てた仮説を分けて扱うことが重要です。

STEP7:推薦されない原因を切り分け、情報を改善する

推薦されない理由は、大きく5つに分けられます。

1. そもそも自社が条件に合っていない

「大量生産に強い会社」を尋ねる質問に対して、自社が試作・少量生産専門であるような場合です。これは情報発信の問題ではありません。狙うCEP(発注を考え始めるきっかけ)そのものを見直します。

2. 対応できるが、Web上に情報がない

実際にはチタン加工に対応しているのに、自社サイトにほとんど書かれていないケースです。この場合はコンテンツの整備が必要です。

3. 情報はあるが、具体性が不足している

「高精度加工に対応しています」だけでは、具体的な能力が分かりません。対応材質、加工精度・公差、加工サイズ、保有設備、ロットや納期、実績、品質管理体制などを、可能な範囲で具体的に示します。

4. 情報が画像やPDFの中に閉じている

製造業のサイトでは、設備一覧や対応材質の表を画像にしていたり、スキャンしたPDFカタログでのみ公開していたりすることがよくあります。こうした形式は、人にとっても検索エンジンやAIにとっても読み取りにくい場合があります。主要な仕様は、HTMLのテキストや表でも記載しておくと確実です。

5. 自社だけが主張している

自社サイト以外に、企業や技術について確認できる情報がほとんど存在しないケースです。業界メディアや業界団体、展示会の出展者ページ、製造業向けポータル、取引先や販売代理店、共同研究先、認証機関など、信頼できる第三者の情報も確認します。第三者サイトの比較記事での扱われ方が生成AIの推薦に影響しうることについては、生成AIが比較記事の上位ブランドを推奨しやすいことを示した研究の解説も参考になります。

ただし、「外部サイトに掲載されればAIから推薦される」ことが保証されているわけではありません。前述のGoogleの最適化ガイドでも、作為的な「言及」をWeb上に集めることは、思われているほど役に立たないという趣旨が述べられています。目指すのは、露出の数を増やすことではなく、AIや人が自社の特徴を正しく確認できる情報環境を整えることです。

誤った情報を見つけたとき

計測の中で自社について誤った説明が見つかった場合は、まず自社サイトの会社概要や対応範囲の記述が古いまま残っていないかを確認します。あわせて、業界データベースや展示会の出展者ページなど、外部の登録情報が古くなっていないかも見直しましょう。情報源の側をそろえることが、最も確実な対処です。

製造業では「一次情報」が強力なコンテンツになる

製造業のAIO・LLMO対策では、企業がすでに持っている一次情報を活用することが重要です。加工実績や製造事例、技術者の知見、対応材質と加工条件、設備情報、検査方法や品質データ、不具合改善や試作の事例などがそれにあたります。

Googleは生成AI検索向けの最適化ガイドの中で、生成AI検索向けの最適化も引き続きSEOであるとしたうえで、誰でも書ける一般論ではなく、経験や専門性に基づく独自性の高いコンテンツ(非コモディティなコンテンツ)を推奨しています。

製造業は、この点で有利な業界といえます。一般論の記事は生成AIでも作れますが、その会社が実際に何を加工し、どんな設備を使い、どこまで対応でき、どんな結果を出したのかという情報は、その企業にしか作れないからです。

「○○に強い」と書くだけでなく、根拠まで示す

「当社はチタン加工に強い会社です」とだけ書くより、主張・具体的な能力・証拠の3段で示したほうが、ユーザーは企業を評価しやすくなります。「高精度加工に強い」という主張に対して、どの材質・加工方法・精度に対応できるのかという具体的な能力を示し、設備、実績、事例、測定データといった証拠で裏付けます。

AIO・LLMO対策だからといって、特殊な文章を書く必要はありません。人間が企業を比較するときにも判断材料になる情報を充実させることが基本です。

守秘義務(NDA)があっても一次情報は出せる

製造業では、「取引先名も図面も公開できないので事例が書けない」という悩みがよくあります。

その場合でも、「医療機器メーカー様向け・チタン製試作部品」のように社名を伏せて業界と用途を示すことはできます。顧客ではなく、材質・公差・サイズ・ロットといった自社の対応範囲を公開する方法もあります。「薄肉部のびびりを抑える加工条件の工夫」のように、課題と解決の型として一般化して書くこともできます。

公開できる範囲を社内で確認したうえで、顧客情報ではなく自社の能力と知見を軸に情報を出していくのが現実的です。

製造業のAIO・LLMO対策で整備したいページ

自社サイトでは、まず「どんな技術で、どの材質を、どこまで加工できるか」を示す加工・技術ページと材質別ページを整えます。ステンレス、アルミ、チタン、インコネルなど、材質ごとの対応範囲や知見が分かると、条件を指定した質問に対して候補になりやすくなります。

次に、医療機器、半導体、自動車、航空宇宙といった業界・用途別のページで、それぞれの実績を示します。保有設備や加工可能サイズをまとめた設備ページ、検査設備・検査体制・認証・トレーサビリティをまとめた品質管理ページも、比較の判断材料として重要です。

そのうえで、実際にどのような課題に対応したかを示す加工事例と、材料選定や加工方法、設計上の注意点など技術者の知識をまとめた技術コンテンツが、一次情報としての厚みを生みます。

ここでも、ページ数を増やすこと自体を目的にしないことが重要です。各ページが、どんな顧客の課題に対して、自社がなぜ候補になれるのかを説明できているかが問われます。

製造業のAIO・LLMO対策でよくある失敗

「おすすめ企業」の質問だけで計測する。条件の少ない質問だけでは、実際の調達場面を再現できません。CEP(発注を考え始めるきっかけ)、用途、材質、納期、ロットを組み合わせて計測します。

質問文を思いつきで作る。担当者が思いついた質問だけでは、重要な購買場面が漏れます。先にCEPと購買要因を整理します。

AIの回答を1回だけ見て判断する。回答は毎回変わり得ます。繰り返し計測し、割合と傾向で判断します。

推薦率だけを見る。推薦された回数だけでなく、なぜ推薦されたのか、競合とどこが違うのかまで分析します。

引用と推薦を混同する。自社サイトが引用されていても、自社が推薦されるとは限りません。それぞれ別のKPIとして計測します。

「AIO専用テクニック」を探しすぎる。少なくともGoogleについては、AI機能とウェブサイトに関する公式ドキュメントに、AIによる概要やAIモードにコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もないと書かれています。AI向けのテキストファイルやマークアップ、特別なschema.orgの構造化データを追加する必要もないとされています。特殊なテクニックを探すより、クロール・インデックスできること、内容が分かりやすいこと、独自の情報があること、ユーザーにとって価値があることといった、Webサイトの基本を優先するべきです。

このほかの典型的なつまずき方は、AIO対策で成果が出ない原因と失敗事例で11のパターンに整理しています。

製造業のAIO・LLMO対策で見るべきKPI

最終的な目的は、AIに表示されることそのものではなく、事業成果につなげることです。そのため、KPIを階層で整理します。

階層 主なKPI
AI上での推薦 推薦率、CEP(発注を考え始めるきっかけ)別の推薦率、競合の推薦率
AI上での認識のされ方 推薦理由、比較軸、自社の説明内容、誤情報の有無
AI引用 自社サイトの引用率、引用ページ、第三者サイトの引用状況、Search Consoleの生成AIインプレッション
Web行動 AI検索経由の流入、閲覧ページ、問い合わせ
事業成果 商談、見積依頼、受注、売上

推薦 → 流入 → 問い合わせ → 商談・受注までつなげて考えることで、AIO・LLMO対策を単なる「AI露出対策」で終わらせないことが重要です。推薦率から増分利益までを結ぶKPIツリーの組み立て方は、AIO・LLMO対策のROIとKPIの考え方で解説しています。

DolphinX AIOを活用した自社推薦状況のモニタリング

ここまで紹介した方法は、ChatGPTやGeminiへ一つずつ質問し、表計算ソフトに記録する方法でも実施できます。ただし、10個のCEP(発注を考え始めるきっかけ)に5個の条件、さらに複数のAIを掛け合わせて継続的に計測すると、管理する回答の数はすぐに膨大になります。一定以上の質問文を運用する場合は、AI検索のモニタリングツールを活用する方法もあります。ツールごとの計測機能や費用の違いは、AIO・LLMO対策ツールの比較記事にまとめています。

AI検索のブランド推薦を計測できる「DolphinX AIO」では、登録した質問文に対するAIの回答を毎日自動で計測し、自社ブランドが推薦された割合(画面上では「露出率」と表示)、自社サイトの引用率、登録した競合ブランドとの比較、AIの回答本文を継続的に確認できます。

質問文にグループタグを付けておけば、「短納期試作」「チタン加工」「医療機器向け」「半導体製造装置向け」といったCEPや用途ごとに露出率を集計でき、どの購買場面で自社が推薦され、どこで競合が強いのかを把握しやすくなります。購買要因から質問文をまとめて作成する「プロンプト詳細設計」機能もあります(ご契約プランによって利用可否・回数が異なります)。

回答本文が蓄積されていくため、改善のサイクルも回しやすくなります。例えば、自社は「短納期試作」では推薦されているのに、「医療機器向け」では競合A社が挙がることが多いと分かったとします。回答本文を確認すると、A社は「医療業界での実績」「品質管理」「認証」を理由に紹介されていました。自社にも実績はあるものの、Webサイト上では十分に説明できていなかったため、医療機器向けの加工事例や品質管理、設備の情報を拡充します。その後も同じ質問文で計測を続け、変化を確認します。

重要なのは、ツールを導入することそのものではありません。CEP(発注を考え始めるきっかけ)を設計し、推薦状況を計測し、回答に現れる比較軸や推薦理由を分析し、情報を改善する。このサイクルを継続することが重要です。

まとめ|製造業のAIO・LLMO対策は「どんな場面で、なぜ選ばれるか」を設計する

製造業のAIO・LLMO対策では、「ChatGPTに会社名を覚えてもらう」「AI向けの特殊な文章を書く」といった発想だけでは十分ではありません。重要なのは、顧客がどのような状況でそのカテゴリーを必要とし、どのような条件で企業を比較しているのかを理解することです。

製造業のAIO・LLMO対策 7つのステップ

  1. 顧客のCEP(発注を考え始めるきっかけ)を洗い出す
  2. 自社が狙うCEPを決める
  3. CEPごとに必須条件と購買要因を整理する
  4. 推薦を狙う質問文を設計する
  5. AI上の推薦状況を繰り返し計測する
  6. 推薦理由・比較軸を分析する
  7. 推薦されない原因を切り分け、情報を改善する

製造業には、加工能力、設備、技術、品質、実績、製造事例、検査データなど、企業自身が持つ一次情報が豊富にあります。こうした情報をWeb上で適切に整理することは、AI検索だけでなく、人間の調達担当者や設計担当者が企業を比較するときにも役立ちます。

AIO・LLMO対策を「AIだけを攻略する施策」として考えるのではなく、「どんな購買場面で、自社がなぜ選ばれるのかを、Web上で明確にする取り組み」として設計すること。それが、製造業における推薦対策の基本です。

メディアリーチでは、自社がどの購買場面でAIに推薦されているのかを可視化するLLMO診断・初期調査サービスをご用意しています。CEPの設計から計測・改善までを継続的に進めたい場合は、LLMOコンサルティング・運用代行もご相談ください。

松村 俊樹
松村 俊樹
代表取締役
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