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AIO/LLMO対策で重要な「CEP(カテゴリーエントリーポイント)」とは?AIに推薦されるブランド戦略

AIO/LLMO対策で重要な「CEP(カテゴリーエントリーポイント)」とは?AIに推薦されるブランド戦略
松村 俊樹
この記事の著者
松村 俊樹
代表取締役

ChatGPTやGemini、Google AI Modeなどを使って商品やサービスを比較・検討する場面が広がるなか、AIO対策(LLMO、GEOとも呼ばれます)では「どの質問で自社ブランドが推薦されるか」を考えることが重要になっています。

AIO・LLMO・GEOの違い

たとえば勤怠管理システムを提供している企業が、

「おすすめの勤怠管理システムは?」

という質問だけを計測していても、ユーザーがAI上で商品を探す場面を十分には捉えられません。

実際には、

  • Excelでの勤怠管理をやめたい
  • 従業員50人程度の会社に向いているシステムを探している
  • 複数店舗のシフトと勤怠を一元管理したい
  • 給与計算ソフトと連携したい

など、さまざまな状況や課題をきっかけとして商品・サービスを探します。

こうした「カテゴリーを検討するきっかけ」を整理する際に役立つのが、カテゴリーエントリーポイント(Category Entry Point:CEP)という考え方です。

本記事の後半では、この考え方が実際のAI検索でどう現れるのかを、勤怠管理システム(BtoB)と注文住宅(BtoC)、それぞれの当社が調査した独自の実測データとあわせて確認していきましょう。

カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは

カテゴリーエントリーポイントとは、簡単にいうと、

顧客が、ある商品・サービスのカテゴリーについて考え始めるきっかけ

です。

CEP研究を行っているEhrenberg-Bass Instituteは、CEPを「カテゴリーの購入へ移行するときに買い手が持つ思考を捉えるもの」であり、メンタル・アベイラビリティ(Mental Availability)を構成する要素だと説明しています。メンタル・アベイラビリティとは、購買場面でそのブランドがどれだけ思い浮かびやすいかを表す概念です。詳しくはEhrenberg-Bass InstituteによるCEPの特定・優先順位付けの解説で確認できます。

BtoBについても同研究所は、CEPを「購買状況に直面した際に、カテゴリー購入者が記憶へアクセスするために使う手がかり」と説明しています。動機や感情といった内的な要因だけでなく、場所や時間などの外的な要因も含まれます(Category Entry Points in a Business-to-Business (B2B) world)。

BtoBの例:勤怠管理システム

ユーザーの状況・課題 CEPの例
Excel管理の工数が増えている Excel管理から脱却したい
従業員が増えて管理が複雑になった 従業員増加に対応したい
店舗が増えて管理しづらい 複数店舗を一元管理したい
給与計算への転記が大変 給与計算と連携したい
残業時間を把握できていない 労働時間を正確に管理したい

BtoBのAIO・LLMO対策ガイドはこちら

BtoCの例:注文住宅

CEPはもともと消費財の研究から生まれた概念で、BtoCでも同じように整理できます。

ユーザーの状況・課題 CEPの例
子どもの小学校入学までに住まいを決めたい 入学のタイミングに間に合わせたい
賃貸の更新が近く、家賃がもったいないと感じた 家賃を払い続ける状態から抜け出したい
親の介護を見据えて実家の近くに住みたい 二世帯・近居に対応した家を建てたい
土地がなく、何から始めればよいか分からない 土地探しから相談したい
建てた後の光熱費が不安 断熱・省エネ性能の高い家にしたい

つまりCEPは、単なる検索キーワードではありません。

「なぜ、その人がそのカテゴリーを必要とするようになったのか」

という購買状況に近い概念です。

なぜAIO・LLMO対策でCEPが重要なのか

従来のSEOでは、検索キーワードを起点としてユーザーとの接点を設計することが一般的でした。

一方、生成AIでは、

「従業員80人くらいの会社で、Excelから移行しやすく、給与計算ソフトとも連携できる勤怠管理システムを教えて」

のように、状況・目的・条件を組み合わせた質問が行われます。

Googleも、AI Modeについて「さらなる探索や推論、複雑な比較が必要な質問に役立ち、以前は複数回の検索が必要だったニュアンスのある質問にも応答できる」と説明しています。さらにAI ModeやAI Overviewsでは、元の質問から関連する複数の検索へ展開する「query fan-out(クエリ・ファンアウト)」という技術が使われる場合があります。詳しくはGoogle検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」で公開されています。

そのためAIO対策では、次のように考えると整理しやすくなります。

段階
CEP Excel管理をやめたい
AIへの質問 Excelから移行しやすい勤怠管理システムは?
AIによる比較 条件に合うサービスを複数抽出
ブランド推薦 A社、B社、C社などを候補として提示
ユーザー行動 比較・公式サイト訪問・問い合わせ

AIO・LLMO対策では「CEPと自社ブランドの適合性」まで確認する

ここで重要なのが、CEPを大量に洗い出しただけではAIO戦略にならないことです。

すべてのCEPを狙う必要はありません。見るべきなのは、

「そのCEPに対して、自社の商品・サービスは本当に適合しているのか」

です。

たとえば「給与計算まで一つのサービスで完結したい」というCEPが市場で重要だったとしても、自社の勤怠管理システムに給与計算機能がなければ、現時点では十分に適合しているとはいえません。

逆に、実際には対応できているにもかかわらず、生成AIから自社が推薦されていないケースもあります。この違いを分けて考えることが重要です。

CEPとブランドの関係は4つに分けて考える

AIO対策では、CEPごとに自社ブランドとの関係を次の4パターンに整理すると分かりやすくなります。

パターン ブランド適合 AI推薦 状態 基本方針
高い 高い すでに適合し、AIにも認識されている 維持・強化
高い 低い 商品は適合するが、AIから推薦されない AIO対策を優先
現時点では低い 低い 今後このCEPにブランドを対応させたい 商品・ブランド戦略から対応
低い(狙わない) 今後も対応する予定がない 原則狙わない

① すでにCEPに適合しており、AIからも推薦されている

自社の商品・サービスがそのニーズに対応しており、生成AIからも候補として認識されている状態です。

たとえば「複数店舗の勤怠をまとめて管理したい」というCEPに対し、実際に複数店舗管理機能を提供していて、導入実績があり、公式サイトでも情報を掲載しており、ChatGPTやGeminiでも候補として推薦されているケースです。

この状態では、露出を継続的に計測しながら、競合との差や引用元の変化を確認していきます。

② CEPには適合しているが、AIから推薦されていない

AIO・LLMO対策で特に重要なのが、このケースです。

たとえば「給与計算ソフトと連携したい」というニーズに対して、自社では複数の給与計算ソフトとの連携機能を提供しているにもかかわらず、

「給与計算ソフトと連携しやすい勤怠管理システムを教えて」

とAIに質問すると、競合ブランドしか推薦されない状態です。

これは、商品・サービスの適合性ではなく、AI上でのブランドの見つけられやすさ(Findability)に課題がある可能性を示しています。

この場合は、

  • 公式サイト上でその強みが明確か
  • 対応機能を詳しく説明しているか
  • 具体的な導入事例があるか
  • 比較検討時に必要な情報が存在するか
  • 第三者サイトでも関連する文脈でブランドが言及されているか

などを確認していきます。

ただし、特定のコンテンツや施策を実施すれば必ずAIに推薦されるという公式な仕組みが公開されているわけではありません。

Googleは、生成AI検索でも従来のSEOの基礎が引き続き重要だと明言しています。一方で、AI向けの特別な小細工については、コンテンツを細かく分割する必要はなく、llms.txtのような機械可読ファイルの作成も不要で、作っても検索での可視性や順位に「害も益もない」としています。また、Web上で不自然な「言及」を集めようとすることは「見かけほど有効ではない」と述べています。詳しくはGoogle検索セントラルの生成AI向け最適化ガイドを確認してください。

③ 現在は適合していないが、今後そのCEPを取りにいきたい

これはAIO・LLMO施策だけでは解決できません。

たとえば現在は「AIがマーケティング施策まで自動実行してほしい」というニーズに十分対応していないものの、今後その機能を開発し、この市場ポジションを取りたいとします。

この場合、「その用途に強いブランドとして紹介する記事を大量に作る」だけでは不十分です。必要なのは、CEPに実態としてブランドを適合させることであり、プロダクトで必要な機能を開発する、サービスの提供範囲を広げる、対象用途での導入実績を作る、新しい価値をコンテンツで明確に説明する、第三者からの認知・評価をPRで形成する、そのうえで該当CEPでの推薦状況を継続的に計測する、という一連の動きが必要になります。

このようにCEP分析は、AIO施策だけでなくプロダクト戦略やブランド戦略にもつながります。

④ CEPに適合しておらず、今後も適合させない

市場に需要があるからといって、すべてのCEPを狙う必要はありません。

たとえば「とにかく業界最安値のサービスを使いたい」というCEPが存在していたとしても、自社が高付加価値・高価格帯のサービスを提供しているのであれば、そのCEPを取らないという判断もあります。

この判断は、地域密着型のBtoCではより明確になります。注文住宅であれば、対応エリア外のCEPは、どれだけ市場性が高くても狙う意味がありません。AI上でエリア外の質問に推薦されても受注にはつながらないためです。むしろ、対応エリア内のCEPで確実に候補に入る状態をつくるほうが優先度は高くなります。

AIO対策の目的は、「すべての質問で自社名を表示すること」ではありません。

補足:適合していないのにAIから推薦されるケース

実務では、上の4パターンに当てはまらない状態が見つかることもあります。自社が提供していない機能や対応範囲について、AIが自社を候補として挙げてしまうケースです。

一見すると露出が増えて望ましい状態に見えますが、問い合わせ後のミスマッチにつながり、結果として失注や顧客体験の毀損を招きます。原因としては、古い情報がまだ参照されている、第三者サイトの記述が不正確である、といったことが考えられます。

推薦率だけでなく「どのような理由で推薦されたか」まで確認すべきなのは、このためです。

【実測】同じカテゴリーでも、CEPによって推薦される会社は変わる

ここまでの考え方が実際のAI検索でどう現れるのか、当社で調査してみました。本記事で使っている2つの実例(勤怠管理システム=BtoB、注文住宅=BtoC)そのもので確認します。

実測の方法

項目 内容
実施日 2026年9月20日
使用AI ChatGPT(gpt-5.5、web検索有効、地域設定:日本/東京)
方法 CEP(条件)ごとに同じ質問を3回ずつ投げ、回答の中で最初に名指しされた会社を記録

各条件3回ずつという小さな母数のため、「露出率◯%」のような統計的な確からしさを主張するものではありません。ここでは「条件によって一番手の推薦先が変わるかどうか」という傾向を確認するためのミニ実測として扱っています。またAIはChatGPT単体のみで、Gemini・Google AIモード・Copilotなど他のAIでの検証は含みません。

BtoBの実例:勤怠管理システム

CEP(条件) 1回目 2回目 3回目 一番手の一致度
条件なし(おすすめの勤怠管理システムは?) KING OF TIME ジョブカン勤怠管理 KING OF TIME 2/3一致
Excelでの勤怠管理をやめたい KING OF TIME KING OF TIME KING OF TIME 3/3一致
従業員50人程度の会社向け KING OF TIME KING OF TIME KING OF TIME 3/3一致
複数店舗のシフト・勤怠を一元管理したい KING OF TIME 楽楽勤怠 ジョブカン勤怠管理 3/3バラバラ
給与計算ソフトと連携したい KING OF TIME KING OF TIME KING OF TIME 3/3一致

KING OF TIMEは「Excel移行」「50人規模」「給与連携」という3つの条件で3回とも一番手になった、いわば鉄板の推薦先でした。ところが「複数店舗の一元管理」という条件になった途端、3回とも一番手がバラバラ(KING OF TIME・楽楽勤怠・ジョブカン勤怠管理)になっています。同じ「勤怠管理システム」というカテゴリーの中でも、CEPが変わるだけで推薦の顔ぶれが入れ替わることが、実際のChatGPTの回答から確認できます。

BtoCの実例:注文住宅

CEP(条件) 1回目 2回目 3回目 一番手の一致度
条件なし(おすすめの注文住宅会社は?) スウェーデンハウス スウェーデンハウス 一条工務店 2/3一致
子どもの入学までに建てたい 積水ハウス 住友林業 一条工務店 3/3バラバラ
賃貸の家賃を払い続けたくない 一条工務店 スウェーデンハウス 一条工務店 2/3一致
二世帯住宅・親との近居 積水ハウス 積水ハウス ヘーベルハウス 2/3一致
土地探しから相談したい 細田工務店 三井ホーム 住友林業 3/3バラバラ
断熱・省エネ性能重視 三陽工務店 一条工務店 一条工務店 2/3一致

注文住宅では、さらに踏み込んだ違いが見えます。「入学タイミング」や条件なしの質問では、住友林業・積水ハウス・一条工務店・スウェーデンハウスといった全国規模のハウスメーカーが顔を揃えるのに対し、「土地探しから相談したい」という条件になると、細田工務店・三井ホームといった地域密着型の工務店や土地探し特化サービスが前面に出てきます。断熱・省エネ条件でも、HEAT20認証を掲げる専門工務店(ヤマト住建、三陽工務店、アイ工務店)が混ざってきます。

つまりCEPが変わると、「同じ会社の中で一番手が入れ替わる」だけでなく、「そもそも土俵に上がる会社の種類が変わる」ことがあります。全国的な知名度で勝負するCEPと、地域密着・専門性で勝負するCEPは、別のゲームです。

AIO対策では3軸でCEPを評価する

実務では、CEPを次の3つの軸で評価すると優先順位を決めやすくなります。

評価軸 確認する内容
CEP重要度 顧客にとって重要な購買状況か
ブランド適合度 自社の商品・サービスがニーズを満たせるか
AI推薦状況 AI上で自社ブランドが実際に候補として出ているか

この3つを組み合わせると、優先順位が見えてきます(代表的な組み合わせを抜粋しています)。

CEP重要度 ブランド適合度 AI推薦 判断
維持・強化
AIO対策の優先領域
今後取りにいくか経営判断
投資対効果を見て判断
基本的に優先しない

特に重要なのが、

CEP重要度:高い × ブランド適合度:高い × AI推薦:低い

の領域です。たとえば勤怠管理システムの実測で見た「複数店舗の一元管理」のように、CEP重要度が高い(店舗展開している会社にとっては切実なニーズ)にもかかわらず、AIの推薦が一社に定まらず割れている場合、自社がそのCEPにしっかり適合しているなら、そこは優先的にAIO対策を行う価値がある領域です。

CEPを起点としたAIO・LLMO対策の進め方

実際のAIO・LLMP対策は、次の流れで進めることができます。

STEP 実施内容 アウトプット
STEP1 カテゴリーを定義する 対象市場
STEP2 主要なCEPを抽出する CEP一覧
STEP3 CEPの重要度を評価する 優先CEP
STEP4 自社ブランドとの適合性を評価する Brand-CEP Fit
STEP5 CEPからAI検索プロンプトを設計する 計測プロンプト
STEP6 複数AIでブランド推薦状況を確認する 推薦率・引用率
STEP7 競合との差を分析する ギャップ
STEP8 コンテンツ・PR・商品改善などを実施する 改善施策
STEP9 定期的に再計測する 推移・成果

STEP1:カテゴリーを定義する

まず、自社がどのカテゴリーで選ばれたいのかを明確にします。カテゴリーの定義が広すぎるとCEPも広がりすぎるため、実際の顧客が比較検討する単位で考えます。

STEP2:主要なCEPを抽出する

顧客がどのような状況で商品・サービスを必要とするのかを整理します。情報源としては、顧客インタビュー、商談記録、問い合わせ内容、サイト内検索、検索クエリ、FAQ、競合サイト、営業担当者へのヒアリングなどが考えられます。

Ehrenberg-Bass Instituteも、CEPを定量化したうえで、自社ブランドと競合のパフォーマンスを測定するという2段階のアプローチを説明しています。

STEP3:CEPの重要度を評価する

抽出したCEPのうち、どれが顧客にとって重要かを評価します。すべてのCEPが同じ重みを持つわけではありません。

発生頻度が高いか、購買の意思決定に強く影響するか、そのCEPを起点にした顧客の成約率は高いか、といった観点で絞り込みます。

STEP4:自社ブランドとの適合性を評価する

各CEPについて、すでに強く適合している/一部適合している/今後適合させたい/今後も適合させない、のいずれかに整理します。

ここを飛ばして「市場で重要そうな質問」をすべて計測対象にすると、自社がそもそも提供していない価値についてAI露出を追いかけることになります。

STEP5:CEPからAI検索プロンプトを設計する

次に、一つのCEPから複数の質問を作ります。

「複数店舗をまとめて管理したい」というCEPであれば、

  • 「複数店舗の勤怠をまとめて管理できるサービスは?」
  • 「10店舗ほど運営しています。店舗ごとの勤怠を本部で一括管理できるシステムを教えて」
  • 「飲食店の複数店舗管理に向いている勤怠管理システムを比較して」

注文住宅であれば、

  • 「土地探しから相談できる注文住宅会社を教えて」
  • 「平屋の実績が多い工務店を比較して」
  • 「二世帯住宅を建てるなら、ハウスメーカーと工務店のどちらがいいですか」

といった質問が考えられます。

ただし、プロンプトの数を増やすこと自体が目的ではありません。Googleも公式ガイドで、検索され得るすべてのバリエーションやファンアウトクエリに対して大量の個別ページを作るようなアプローチではなく、ユーザーにとって有益なコンテンツを提供することを推奨しています。

AIO/LLMO対策におけるプロンプト設計方法の記事はこちら

STEP6:AI上のブランド推薦状況を計測する

設計したプロンプトについて、ChatGPT、Gemini、Google AI Mode、Copilotなどでブランド推薦状況を確認します。プロンプトにおける自社ブランドの露出傾向を計測・把握するには、DolphinX AIOのようなAIO/LLMO分析ツールが必要となります。

以下は当社が提供しているAI検索分析プラットフォーム「DolphinX AIO」のプロンプト別詳細画面の例です。

DolphinX AIO 日次計測の実際の画面

先ほどの実測でも見たとおり、CEPが変わるだけで、名指しされる会社は入れ替わります。ひとつの質問だけで判断すると実態を見誤ります。また、AIによっても回答の傾向は変わるとされるため(本記事の実測はChatGPT単体での結果です)、単一のAIだけで判断せず、複数のAIで確認することが前提になります。

また、単純なブランド名の有無だけではなく、推薦されたか、何番目に言及されたか、どの競合と比較されたか、どのような推薦理由だったか、どの情報源が引用されたか、までを見ることで、自社ブランドがどのように認識されているのかを把握できます。

STEP7:競合との差を分析する

自社の露出率だけを見ていても、それが良いのか悪いのかは判断できません。同じ質問で競合が何回推薦されているかと並べて初めて、取りこぼしの大きさが分かります。

確認するのは主に次の3点です。

  • 推薦シェア:その質問で、自社と競合がそれぞれ何割を占めているか
  • 勝ち負けの分布:どのCEPで競合に負けていて、どのCEPで勝っているか
  • 引用元の差:競合が引用されていて自社が引用されていない情報源はどこか

特に3つ目が実務では重要です。競合だけが引用されている第三者サイト(比較記事、業界メディア、導入事例サイトなど)が見つかれば、それがそのまま次の打ち手の候補になります。

STEP8:施策を実施する

STEP7で見つかったギャップの種類によって、打ち手は変わります。

  • 自社サイトの情報不足が原因:該当CEPに対応する情報を明確に記載する。機能一覧に1行あるだけでなく、そのCEPを持つ顧客が判断できる粒度まで書く
  • 第三者からの言及が不足:比較記事や業界メディアでの掲載、導入事例の公開などを進める
  • そもそも商品が適合していない(③):プロダクト側の対応を検討する

ここで重要なのは、②と③を取り違えないことです。商品が適合していないCEPにコンテンツ施策を打っても成果は出ません。

STEP9:定期的に再計測する

AIの回答は同じ質問でも日によって変動します。1回の計測結果だけで判断せず、継続的に推移を見ることが前提になります。

施策を実施したCEPの露出率が、実施後に改善しているか。改善していない場合、原因は情報の不足なのか、競合がさらに強化したのか。この確認を回していくことが、AIO対策の実務です。

「キーワード順位」から「CEP別ブランド推薦」へ

SEOでは長年、「キーワード → 検索順位」という単位で可視性を評価してきました。AIOでは、それに加えて「CEP → 質問 → ブランド推薦」という視点が重要になります。

SEOでよく見る単位 AIOで加えて見る単位
キーワード CEP・質問
検索順位 ブランド推薦
検索ボリューム CEP重要度
CTR AI経由のサイト訪問・行動
競合順位 競合ブランド推薦率
ランディングページ 推薦根拠・引用情報

SEOが不要になるという意味ではありません。Googleは、生成AI検索についても従来のSEOの基本が引き続き有効であると明確に説明しています。

そのうえでAIOでは、「どの購買状況でブランドが候補に入るのか」という新しい観測軸を持つことが重要です。

AIO対策は「AIにブランド名を覚えさせること」ではない

AIO対策というと、「ChatGPTに会社名を覚えさせる」「AIでブランド名をできるだけ多く表示させる」と考えられることがあります。

しかし、それだけでは十分ではありません。重要なのは、

どのような状況で、そのブランドが候補として想起・推薦されるのか

です。

勤怠管理システムであれば、「勤怠管理システムといえばA社」だけではなく、「50人規模の会社で導入しやすい → A社」「複数店舗を管理したい → A社」「給与ソフトと連携したい → A社」というように、複数の具体的な購買状況とブランドが結びつくことが重要になります。

Ehrenberg-Bass Instituteの研究者が体系化したCEPも、こうした購買状況とブランドのメンタル・アベイラビリティを結びつける考え方です。AIO対策では、この考え方をAI検索へ応用し、「重要なCEPにおいて、AIが自社を適切な候補として推薦しているか」を継続的に確認していくことになります。

まとめ:重要なCEPで「選択肢に入るブランド」を目指す

AIO対策を始める際、いきなり数百個のプロンプトを作る必要はありません。

まず「顧客は、どのような状況でこのカテゴリーを必要とするのか」を整理します。そのうえで、各CEPについて次の点を確認します。

確認すること 問い
市場性 このCEPは顧客にとって重要か
適合性 自社の商品はこのニーズを満たせるか
戦略性 今後このCEPを取りにいきたいか
AI可視性 現在AIから自社が推薦されているか
ギャップ 競合と比べて何が不足しているか

本記事の実測で見たとおり、勤怠管理システムでも注文住宅でも、条件(CEP)が変わるだけで名指しされる会社は簡単に入れ替わります。カテゴリー名だけの質問をひとつ追いかけていても、実態は見えません。

AIO対策の目的は、あらゆる質問で自社ブランドを表示させることではありません。

自社が本当に選択肢となるべき重要な購買場面で、AIから適切に推薦される状態を作ること。

この順番で考えることで、単純なAI露出率の改善ではなく、ブランド戦略や顧客の購買行動に沿ったAIO対策を設計しやすくなります。

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よくある質問

Q. カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは何ですか?

顧客がある商品・サービスのカテゴリーについて考え始めるきっかけとなる状況や動機のことです。Ehrenberg-Bass Instituteの研究者が体系化した概念で、購買場面でブランドが思い浮かびやすいかどうか(メンタル・アベイラビリティ)を構成する要素とされています。

Q. CEPと検索キーワードはどう違いますか?

検索キーワードは「ユーザーが実際に入力した言葉」ですが、CEPは「なぜその人がそのカテゴリーを必要とするようになったのか」という購買状況そのものを指します。一つのCEPから複数の検索キーワードやAIへの質問が生まれます。

Q. CEPはいくつ洗い出せばよいですか?

数の多さより、自社が実際に適合できるCEPを優先度順に絞り込むことが重要です。自社が提供していない価値のCEPを大量に計測しても、AI露出を改善する余地はありません。

Q. BtoCでもCEPの考え方は使えますか?

使えます。CEPはもともと消費財の研究から生まれた概念です。注文住宅であれば「子どもの入学に間に合わせたい」「土地探しから相談したい」などがCEPにあたります。地域密着型のビジネスでは、対応エリアという制約がCEPの取捨選択に直結します。本記事の実測でも、「土地探し」という条件だけ、全国大手ハウスメーカーではなく地域密着の工務店が前面に出るという違いが確認できました。

Q. AI上での露出はどうやって計測しますか?

CEPから設計した質問を複数回AIに投げ、回答の中でどのブランドが最初に名指しされるか、自社ブランドが言及された割合(露出率)、自社サイトが情報源として引用された割合(引用率)などを記録する方法が基本です。本記事の勤怠管理システム・注文住宅の実測は、各条件を3回ずつChatGPTに投げ、一番手として名指しされた会社を記録する簡易的な方法で行っています。継続的に運用する場合は、複数のAI・十分な反復回数で計測することが望ましいです。

松村 俊樹
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