セッションタイトル:リンクの価値を再定義する——成果を生む「インパクトスコア」とハイブリッド戦略2025年4月11日、英国ブライトンで開催された世界最大規模の検索マーケティングイベント「BrightonSEO Spring 2025」に、私たち株式会社メディアリーチが現地参加しました。なかでも聴衆の注目を一瞬で集めたのが、Zing GroupのSEO責任者タマラ氏と、DuoDatum Digitalの創設者マット・ケイレス氏によるセッション「リンクの価値を再定義する——成果を生むインパクトスコアとハイブリッド戦略」でした。このセッションでは、ドメインレーティング(DR)やドメインオーソリティ(DA)といった「虚栄的な指標」への業界の過度な依存に疑問を投げかけ、ユーザー中心の評価軸である「インパクトスコア」を提示。さらに、人間の創造性にAIの力を組み合わせた「ハイブリッドコンテンツ」によって、Googleのガイドラインに準拠した自然な被リンク獲得が可能であることを実例とともに示しました。このレポートでは、株式会社メディアリーチ、SEOコンサルタント内田彩夏が、本セッションの重要なポイントを整理し、「インパクトスコア」によるリンク評価の再考が、2025年のリンクビルディング戦略をどう変えるかを解説します。Written by Ayaka UchidaSEO Consultant, MediaReach, Inc.1. 概要(Executive Summary)Zing GroupのSEO責任者であるタマラ氏は、従来の評価指標を見直す「ユーザーファースト」な被リンク戦略を提案しました。2025年現在でも被リンクは依然として重要なランキング要素ですが、多くの場合、DRやDAといった表面的な数値で誤って評価されていると指摘。実際の手動ペナルティ事例やトラフィック減少のケースを通じて、DR偏重型の戦略のリスクを明らかにしたうえで、「インパクトスコア」という新たな評価枠組みを提示。さらに、ハイブリッドコンテンツによって、ユーザーに価値を提供しながら自然なリンク獲得が可能であることを示しました。2. セッション情報タイトル:リンクの価値を再定義する——成果を生む「インパクトスコア」とハイブリッド戦略登壇者:タマラ氏(Zing Group|SEO責任者)、マット・ケイレス氏(DuoDatum Digital|創設者)日時:2025年4月11日(金)11:10~会場:Brighton Centre|オーディトリアム2イベント:BrightonSEO Spring 2025セッションURL:https://brightonseo.com/sessions/digital-pr3. レポート内容3-1. 背景と文脈「被リンクはもう時代遅れだ」といった声が繰り返し聞かれるなかで、タマラ氏は「今も被リンクは重要だが、評価方法が間違っている」と主張。セッションは、彼女が同僚と交わした「2025年における被リンクの意義」をめぐる会話を起点に展開されました。DRやDAといった指標は容易に操作可能であり、それに依存することでトラフィックの減少やペナルティを招くリスクがあると警鐘を鳴らし、ユーザー価値を軸に評価すべきだと説きました。3-2. 主なメッセージと学びDRやDAは、もはや被リンクの価値を示す主要指標とは言えないGoogleのスパム対策アルゴリズム(特にSpam-Brain)は、リンク操作を高精度で検出AIによる大量生成コンテンツやリンク挿入、HAROの過度な活用はリスクが高まっている「インパクトスコア」は、トラフィック可能性、掲載品質、ユーザーの関与、CV機会に基づきリンクを評価ハイブリッドコンテンツは、人間の創造力とAIの補助を融合させ、自然なリンク獲得を狙うユーザーファーストのリンクとは、「文脈的関連性」「読者への有用性」「編集部による配置」「自然な統合性」を備える有料リンクでも、ユーザーに本当に価値を提供し、自然リンクを誘発するものであれば有効3-3. スライド・ビジュアル資料図1:セッションの構成(DR/DAの限界、ユーザーファースト戦略、インパクトスコア、ハイブリッド手法)図2:リンク戦略の安全対策キット(評価要素を明示)図3:価値あるリンクの3つの特徴図4:インパクトスコアの可視化と5つの評価要素図5:評価フレームの4つの次元図6:各評価項目における具体的なチェックポイント図7:実際のスコア計算例と各指標の評価基準図8:ハイブリッドコンテンツ戦略の具体例と活用方法3-4. SEO実務への応用短期的な施策:現在のリンク戦略を見直し、虚栄的な指標への依存を排除インパクトスコアを用いた既存リンクの再評価ゲスト投稿などに活用できるハイブリッドコンテンツ資産の作成アナリティクスを適切に設定し、実際の流入効果を計測長期的な方向性:被リンクの「量」から「質」へと評価軸を転換計算ツールやビジュアル、ダウンロード可能な資料など、リンクを自然に集めるコンテンツ開発リンクビルディングの評価指標としてインパクトスコアを継続的に運用単独のリンク施策から、コンテンツとプロモーションの統合戦略へ移行3-5. 現地での様子会場は満員で熱気に包まれており、タマラ氏の自信に満ちた率直な語り口に多くの聴衆が引き込まれていました。AI生成の「猫スライド」などユーモアも交えながら、ペナルティやDR操作の実例には多くの経験豊富なSEO担当者が深く頷いていました。資料の視認性も高く、リアルタイムで評価フレームを理解できる構成でした。3-6. 所感このセッションが印象的だったのは、抽象的なSEO理論を、クライアント対応にも応用可能な実践的な戦略として提示していた点です。タマラ氏は、難解になりがちなテーマをユーモアと明瞭さをもって伝え、特にハイブリッドコンテンツに関する提案は、日々アウトリーチ業務に関わる人々にとって有用でした。「リンクは決して終わっていない。むしろ、誤解され、誤用されている」という彼女のメッセージは、今のSEO業界において非常に意義深いものであり、虚栄指標を超えて「ユーザーに価値を返す」ことへのシフトは、まさに求められている方向だと感じました。Written by Ayaka UchidaSEO Consultant, MediaReach, Inc.